知識と知恵の違い
皆様、こんにちは。今回は知識を知恵に転換する必要性についてお話します。
まず最初に本文における知識と知恵を定義させて頂きます。
知識・・・ある対象となる物事や内容を知っていること。(インプット)
知恵・・・物事において道筋を立てて適切に処理する能力。(アウトプット)
このように知識はただ知っているだけに対し、知恵は処理していく能力を指しています。この能力こそがビジネスで最も要求される能力です。
ビジネスの世界では知識よりも知恵を要求される場面が多いものです。
これは役職が上がるにつれ顕著に表れます。
少し極端ですが社長は100%答えがない仕事をしています。
部長は80%、課長は50%そして新入社員はほぼ0%と下がっていきます。
新入社員は原則として全ての仕事を上司や先輩から教わり、質問をしたらある程度答えがある仕事をしていますが、社長はどういう風に会社の利益を上げるかといった課題に対し、誰も答えをくれる人はいません。
もちろんヒントを与えてくれる人はいるでしょうが、最終的には自分自身で答えを導かないといけません。そしてこの答えを導き出すのは知識ではなく知恵が必要になって来ます。
皆様の中には「いやいや、うちの会社の上司や先輩なんて何も教えてくれないし答えをくれない。」と不満を持った方もいるかも知れませんが、逆にそれは幸運なことだと思ってください。
前述しましたように役職が上がるにつれ誰も答えを与えてくれなくなりますので、早い段階から自分自身で考えて答えを出せる環境は非常に幸運だと思います。
かくいう私も入社した会社で上司が忙しく聞きたいこともあまり聞けなかったうえに、体系的に説明をしてもらえなかったので自分の中で情報を整理することに苦労しました。
しかし上司があまり教えてくれなかったので、自分で考えて新しいことに挑戦してみたり、営業先のお客様に可愛がって頂き色々なことを教えてもらうことも出来ました。
また上司の指導方法を反面教師にして自分が上に立った時の部下への教え方も事前にシミュレーション出来たことは大いにプラスだったと思います。
※役職者の心得のカテゴリーで後日お話しますが、この時の体験から上司の教え方の中で特に大事なことは体系的に教えることだと私は思っています。
ラテラルシンキング(水平思考)で知恵を鍛えよう
皆様はラテラルシンキング(水平思考)という考え方を聞いたことはありますでしょうか。
よくビジネスの世界にはロジカルシンキング(論理的思考)で考えることの必要性を問われますが、近年ではロジカルシンキングに加え前提条件を疑うクリティカルシンキング(批判的思考)とラテラルシンキング(水平思考)が挙げられます。
今回はこのラテラルシンキングを紹介します。
このラテラルシンキングとは問題解決を目的とした思考法の一つで、既成概念に囚われず自由な発想で多角的に物事を考察していくといった思考法を指します。
ロジカルシンキングは前提条件をもとに段階的に内容を分解して考察していくことに対し、ラテラルシンキングは常識を疑い直感で新たなアイデアを生み出していくというものです。
専門家や有識者の方からすると違うと言うかも知れませんが、私なりにそれぞれの思考法をシンプルに解釈出来る一つの例題を挙げます。
この交差点には信号機はなく、止まれの標識も1本しかありません。
事故を少なくするためにはどういった対策をすれば良いでしょうか?
少し考えてみてください。
この例題に対しそれぞれの思考法から解答を出すとすると以下のようになります。
事故が起きているのは標識が少なく信号機がないことが原因だと考えられる。
よって標識の数を増やし信号機を設置することで事故が減少するだろう。
事故が多いのは交通量が多いためかも知れないので新たに脇道を作り交通量を減らそう。また標識自体を撤去することにより逆に注意力がや高まり事故が減るかも。
交差点を立体交差にする。道路を水路にし船舶での往来にしてみる。
このように三者三様の解答になりますが、ラテラルシンキングでは特に発想力を活かした解答になっていると思います。
このような自由度が高い新しい発想を出していくことが知識を知恵に転換することとなり、以前お話した会社の中で何かを生み出せる人材になる近道になります。
ラテラルシンキングの例題
ではここで一つ個人的に好きなラテラルシンキングの例題を挙げさせて頂きます。
ラテラルシンキングの問題を解くときは、出来れば2人以上とし誰かが事前に解答を知っている状態でYESかNoか関係ありませんと言った形で質疑応答し答えを絞り込んでいくのが通常です。
いったいなぜ? 出典元:「ウミガメのスープ本家『ラテシン』」 http://sui-hei.net/
実際はこの問題に対し様々な質疑応答を繰り返します。
Q.焼きそばは昼食ですか? A.関係なし
Q.恵那は子供ですか? A.はい
Q.花火は関係ありますか? A.はい
といった具合です。
それでは解答に移ります。
如何でしたでしょうか?何とも微笑ましいエピソードですが、柔軟な発想を持たないと解答に辿り着くのは難しかったと思います。
こういった問題を解くだけでは知恵を生み出す力に必ずしも直結するわけではないと思いますが、トレーニングにはなると思いますのでご興味が湧いた方は是非取り組んでみてください。
まとめ
繰り返しになりますが知識を詰め込むインプットよりも知恵を出し何かを生み出すアウトプットの方が、ビジネスの世界では求められます。
また令和時代では無から何かを生み出せる人材でないと生き残っていくことは難しいでしょう。
これには理由があり時代背景として、昭和から平成途中までは平均的な能力が求められていました。
要するに人並みのことが人並みに出来ればよいという企業風土がどこの会社にもありました。
これは基本的に企業は終身雇用である為、定年まで会社が面倒を見てくれるといったことから、長い時間を掛け一人前に育てていけば良いし、使えないと言われる人材でも余力があったので雇用し続けることが出来たといったことから明白です。
また基本的には年功序列の色も強かった為、優秀で何かを生み出せる人材であったとしても、相応の勤務年数を経ないと上にいくことは難しいといった時代背景もありました。
(今でもこのような会社は特に中小企業では多く存在します)
しかし令和時代に突入し企業と労働者の関係は大きく変わりつつあります。
企業は労働者を雇用するといった形ではなく、提供してもらった結果に対価を払うといった新しい形になってきています。
より高い価値を提供出来る人材は企業に重宝される反面、低い価値のことしか提供出来ない人材は企業は必要としないような結果重視の実力主義に移行してきています。
そういった中で他人より高い価値を提供し続けることが自分自身の存在価値にも繋がります。是非皆様も明日から何かを生み出せる人材を目指して頑張ってみてください。
無から何か生み出すというとハードルが高いと思うかも知れませんが、視点や意識を変えていくことで日常の業務の中にも何かヒントがあるはずです。
ちょっとした創意工夫でも何か新しいことを生み出すきっかけになるかも知れませんので、出来ることからコツコツと始めていきましょう。