間接部門の役割と課題
今回は前回の続編と言うことで企業において後衛部隊である間接部門で働いている方を対象に、間接部門で成果を出すテクニックを3つ紹介したいと思います。
まず間接部門とはどのような部署を指すのかということと役割について触れておきます。
間接部門とは営業や販売とは異なり直接売上が上がらない業務を担当する部署を指します。
部署の具体的な例を上げると、総務部・経理部・人事部・法務部などに加え情報部や企画部なども一般的には間接部門と呼ばれる部署です。
間接部門の主な役割は社員が働きやすい環境を作るとともに企業基盤を構築していくことです。
その中でコスト削減や人材確保、情報インフラや法整備など多岐に渡る業務を日々行います。
次に間接部門が抱えやすい課題についてもお話します。
以前お話させて頂きましたが間接部門は非常に時間生産性が問われる部署です。
特にルーティンと呼ばれる定型的な業務に追われることが多く、前述したような企業基盤の構築に関わるような主要業務まで手が回らないといった会社も多いことでしょう。
これはどこの企業もそうですが間接部門は利益が上がる部署では無いため、出来るだけ人的コストを削減したいといった思いから少数精鋭で形成されているのが一般的です。
もし皆様の所属している会社の間接部門が十分な人材を確保出来ており、健全な運営が出来ているのならばそれは素晴らしいことだと思います。
少なくとも私がこれまで所属していた数社の会社では、間接部門の人数は充足しているとは言えず、一人当たりのやるべき仕事量が限界まで押し上げられ、体調不良をきたしている人を何人も見てきました。
中小企業では日常茶飯事の光景ではないでしょうか。
そういった間接部門では企業基盤の構築に関わる主要業務にいかにして取り組むかということで、やはり一番は定型業務の効率化がどこの企業でも課題として挙がってくると思います。
次いで直接部門をはじめとした各所との社内連携や公平性の高い人事評価制度などが挙げらるでしょう。
このような間接部門における様々な課題に対して、成果を出すテクニックについて今回はお話していきます。
①本来あるべき姿に寄せていく
先程間接部門における一番の課題は業務効率化であると申し上げましたが、この対象になる業務はそれぞれの会社によって異なってくると思いますので、ここでは考え方を中心にお話します。
まず表題に挙げた本来あるべき姿とは何かということを説明します。
定義することが少し難しいですが、様々な課題を解決していくための正しいやり方とでも捉えてください。
この正しいやり方の前提となるのが他社で成功しているやり方になります。
まず他社で成功しているやり方で自社が運営出来ないかを検討し、それで難しい場合はそのやり方をカスタマイズしていくといった考え方です。
これは後述のテクニック②にも関係することなのですが会社の業務を例にするとほとんどの場合、その会社独自のやり方で運営されています。※子会社や関連会社は除きます。
この自社独自のやり方が言うのが曲者で効率化に対する障害となって来ます。
一つ例を出すと最近ではDX化を推奨する動きが顕著ですが、やり慣れた方法が楽だからと言った理由で、まだ思うように進んでいない会社が多く存在します。
それぞれの会社で所謂悪しき慣習があることがこういったDX化一つでも妨げているのが現状です。
企業がデジタルを用いて競争の優位性を確立した状態を指す。
このような自社独自のやり方や考え方を本来あるべき姿に寄せていくことが大事です。
会社内において自分自身がもっとこうしたら良いのにとかこれはおかしいと感覚的思うことがあると思います。
そういったことは少なからず本来あるべき姿ではない可能性が非常に高いです。
もちろんそのやり方は上司や経営陣が深い考えがあって指示しているのかも知れませんが、少なくとも末端の業務担当者が納得出来ていない時点で本来あるべき姿ではありません。
もし本当にそのやり方が正しく会社として本来あるべき姿なのであれば、末端の業務担当者が納得して業務に取り組めるような説明責任を果たす必要があります。
ただし後述しますがこの本来あるべき姿に寄せるには何が正しいのかを判断する知識が必要です。
次のテクニック②でその判断する知識の点についてお話します。
②情報収集を徹底的に行う
前述のテクニック①で本来あるべき姿に寄せるには判断する知識が必要と述べました。
ここでいう判断する知識とは社会情勢や経済の動き、業界動向、マーケットの知識などはもちろんですが、取引先や中途採用者から他社がどういったやり方で運営しているのかを聴取することも含みます。
少し脱線しますが私は主に個人事業主様を対象とした経営コンサルティングを行っています。
経営コンサルティングは他社で培ったノウハウをお客様に提供するといったことが仕事です。
それほど他社で成功しているノウハウは皆が知りたいことであり自社で運用出来ないかと考えるものです。
宣伝するわけではありませんが、場合によっては経営コンサルタントと契約し情報収集を行っても良いと思います。
このような方法でまずは他社がどのような形で運営しているのかを知識として持っておくのが大事です。
その上で前述した社会情勢や業界動向などの知識を加味し、正しいやり方がどのようなことなのかを検証していきます。
そしてその土台となる情報収集を徹底的に行ってください。
これは一般事務の人でも同様で、漠然と今のやり方がおかしいからと言って異を唱えたところで、他社は他社と一蹴されてしまいます。
上司や経営陣に対して提案という形で改善方法を持っていくには、それなりの情報源がある説得力のある言葉が必要です。
多くの人が現状を改善したいと思っていても中々改善出来ないのは、人を納得させられるだけの情報源を土台とした知識がないからです。
多くの人がやらないことを自分がやることで自然と成果は出てくるものです。
情報収集を徹底的に行うことを是非試しにやってみてください。
③社内コミュニケーションを密に取る
最後のテクニックとして社内コミュニケーションを密に取ることを挙げさせて頂きますが、特に出来るだけ他部署の人達と交流を持つようにしてください。
冒頭に述べましたように間接部門の仕事は企業基盤の構築が主要業務です。
この企業基盤の構築にはあらゆる部署の人達の意見を集約しないといけません。
特に大半の企業で水と油の関係である直接部門とも積極的にコミュニケーションを取ることをオススメします。
これは後方支援で良かれと思って講じた施策が他部署にとってマイナスとして作用することを未然に防ぐためです。
間接部門が直接部門のためを思ってやったこでも、事前の根回しや意思疎通がしっかりと出来ていないと往々にして軋轢が生じてしまいます。
実際に私が所属していた会社や取引先でも上記のような光景を良く見ました。
もちろんどちらかの主張が正しくてどちらかの主張が間違っているということは原則あり得ません。
しかしながら普段関わる機会が少なく必要最低限の会話しかしないといったような会社なら尚更ですが、意見がぶつかった際に誤解が生まれやすいのも事実です。
そういった時でも普段から十分にコミュニケーションを取れていれば事態を回避できることもあります。
また他部署の人達の情報には有益な情報も多々あります。
場合によっては間接部門が抱える業務の潜在的課題を指摘してくれる時もあるでしょう。
そういった意見を真摯に受け止めつつ良好な関係性を築いていくことで、また新たな成果を生み出すきっかけになります。
少し会社の規模が大きくなると社内で部署が異なると中々コミュニケーションを取ることが難しいですが、自分から積極的に声を掛けてコミュニケーションを図っていってください。
まとめ
今回は前回に続き番外編として間接部門で成果を出すためのテクニックについてお話させて頂きましたが、如何でしたでしょうか。
直接部門に比べると目に見えて結果が出にくい部署だとは思いますが、企業において後方支援である間接部門は必要不可欠です。
自らが行動し、より良い結果としての成果を出ことは一筋縄ではいきませんが、是非上記3つのテクニックを実践してみてください。