パッケージ型の研修はもう古い
多くの企業が実施している研修。
皆様も一度は受けたことがあると思います。
新入社員研修から始まり中堅社員研修、役職者研修と幾度となり研修が定期的に繰り返されます。
この研修において時間の無駄、無意味といった声が昨今非常に多く上がっています。
研修の中身は多くの場合、決められたプログラムを淡々と進行させるパッケージ型となっています。
しかしながら情報化社会と言われている現代ではパッケージ型の研修内容について受講者がある程度予想出来てしまいます。
研修内容に関してネットや本などのツールが豊富で簡単に事前学習が可能であるからです。
昔はそういったツールも無かったので研修で初めて聞く内容が多く、新鮮で素直に聞き入れることも出来ていたと思います。
しかし現代社会においては既に知っていることの復習のような形になることも珍しくありません。
人は既に知っている内容を繰り返し教えられると苦痛に感じるものです。
また講師において外部講師だとまだ救いがあるのですが、社内の先輩社員や役職者が中心となっている場合も少なくありません。
ドヤ顔で武勇伝を壇上で語られる時間も苦痛で仕方ないことでしょう。

しかも話が長い・・・
ただ残念なことに未だにこういった昭和的な研修プログラムで実施している企業が多いことも事実です。
このような旧型の研修から脱却し、本当の意味で為になる研修方法を幾つか紹介していきます。
好奇心を刺激する
ここで一つ極論かも知れませんが効果的であろう研修内容の例を紹介します。
それはソフトバンクの孫正義さんに来社してもらい壇上で講演してもらうことです。
どうでしょうか?多くの人が話を聞いてみたいと思ったはずです。
堀江貴文さんや前澤友作さんのような有名人でも同じように話を聞いてみたいと思う人は多いはずです。
このように受講者の好奇心を刺激することが大事です。
他にもクイズ形式のように進行させるのも良いでしょう。
好奇心を刺激し飽きさせないプログラムを導入すると効果的です。
先に触れたように受講者は研修内容を予想して研修に臨んでいます。
良い意味でその予想を裏切っていくことで研修に対する興味が増します。
事前リサーチが必要
SNSの普及に伴い若年層は特に承認欲求が強い傾向があります。
よくグループワークなどで成果を発表させる研修がありますが苦手な人にとっては憂鬱で仕方ないことと思います。
受講者はそれぞれ個性があります。
研修を企画する側からすると受講者の承認欲求を満たすことが研修の目的ではないと思うかも知れません。
しかし人は誰しも人前で恥をかきたくないし、評価もされたいものです。
研修を受けて良かった、身に付いたと受講者に感じてもらうためには出来るだけ受講者一人一人に配慮する必要があります。
その為には事前アンケート等により受講者がどういった研修を望んでいるかをリサーチをすると良いでしょう。
その上で会社として育成していきたい内容と受講者が望んでいる内容のバランスを考えプログラムを組む。
そうすることでより良い形の研修に近づいていきます。
実践的であるということ
研修を受けた後に果たしてこの内容は使えるのか?と疑問に感じることが多々あると思います。
新入社員研修以外の多くの場合、受講者は皆仕事を抱えた状態で研修に参加します。
受講者の心理としてこの忙しい時に研修とか面倒だという心理が働いています。
そういった受講者の研修に対するモチベーションを上げるには、今の仕事に直結して役に立つ内容にしていかなければなりません。
例えばよくあるビジネスマナーの研修で新幹線の座る位置や円卓での座る位置まで細かく学ぶことがあると思いますが、ほとんどの場合にそういった時に遭遇しないと感じます。
もちろんマナーとして知っておいて損はないとは思いますが到底実践的とは言えません。
それよりも例えば営業職であれば受講者同士でロールプレイングを行うとか、事務職であれば業務効率化に向けての事例発表などのように明日から使える内容に寄せていくべきです。
前述しましたが壇上で身内の偉い人が過去の武勇伝や精神論を長々と語っても、一人一人置かれている状況が違いますのであまり役に立ちません。
そういった話は5分で終わらせて、現状受講者が抱えている課題に対して解決のヒントになるような内容にしていきましょう。
能力のレベルによって分ける
私が数年前に受けた研修で役職者研修といった名称のものがありました。
全国から各拠点のリーダーを任されている人達が集まる研修でした。
その研修のプログラムを見て私は驚きました。
なんとビジネスマナーの講習からスタートしたからです。

これは新入社員研修なのか?
私は疑問に思いました。
と言うのも、私もそうですが既に受講者の多くが部下を持っている立場の人だったからです。
また研修の最後に偉い人の講話で、

本を読みなさい!
と発言されました。
周囲を見渡すと皆うんうんと頷いています。
私は絶句し大いに落胆したのを覚えています。
仮にも役職がついていてそれぞれの拠点に帰ると部下がいるような立場の人達を対象にした研修の締めの言葉とは到底思えませんでした。
私も読書家の方から見ると全然大したことはないとは思いますが、既に読書を習慣化させていました。
しかし後でそれとなく他の受講者に読書について尋ねてみると、残念なことに読書習慣がない人がほとんどだったのです。
ですから他の受講者に対しては意味のある言葉であったかも知れません。
ただ私にとっては何の意味も持たない言葉でした。
このように受講者のレベルがバラバラだと、本当は意味のある内容でも響かないといった事態が起こってしまいます。
このような事態を回避し全ての受講者に意味のある研修にするには、キャリアや役職で一括りにするのではなく、事前テストなどでレベルを分けて研修を行うことが大事です。
まとめ
上記で幾つか方法を紹介しましたが、根本的な部分で言うと受講者に対し目的を明確にし必要性を感じさせることが必要です。
研修案内時と開始時には研修の目的をしっかりと伝えて理解してもらう。
そして受講者にとってこの研修は必要だという内容にしていくことが重要です。
また研修後はやりっぱなしにならないようフォローを欠かさないことです。
研修内容が業務に活かせられているかを観察し、きめ細やかなフォローを行っていきましょう。
今回紹介した方法はほんの一例です。
時代と共に働き方や仕事に対する考え方が変化していますので、研修に関しても新しい手法をどんどん取り入れていってください。