他人のメンツはつぶさない
組織に属している以上、度々根回しが必要になります。
根回し・・・交渉・会議などで、事がうまく運ぶように、前もって関係者に話をつけておくこと。(広辞苑)
今回は何故根回しが必要なのかを解説していきます。
ここで前提としてお話しておきたいのが、人は感情⇒論理の順で物事を判断するということです。
厳密に言うと、的確な判断を行うにあたり感情がベースになっていると言えます。
ちなみにこのことは脳科学的にも立証されておりますので、ご興味をお持ちの方は是非調べてみてください。
つまり感情面で納得していないと論理性があったとしても人は納得出来ないということです。
そしてこの感情面に作用するのが根回しなのです。
例えば貴方はとある会社の営業部長で信頼している直属の部下がいたとします。
その部下が突然会議の場でこう発言します。
新しいアイデアがあります。
当然のことながら、貴方は何も聞いていません。
会議の場で意気揚々と部下はプレゼンを続けますが、客観的に見ても穴だらけの提案です。
しばらくして貴方の上司である専務がいらだった様子で口を開きます。
この件は上司には相談したのか?
部下は少し考えて口を開きます。
別部署の先輩には相談しました。
それを聞いた専務は貴方を一瞥し「わかった。」とだけ口にし会議はそのままお開きとなりました。
どうでしょうか?多くの人が部下に対して良い印象を持たなかったはずです。
専務は多くを語りませんでしたが、貴方に対して部下の管理は出来ているのかと不信感を持ったことでしょう。
これは部下が上司である貴方に対して根回しを怠った結果であり、貴方にしてみればメンツをつぶされたと感じたからです。
人はそれぞれ自分の役割を全うするために、プライドを持って仕事をしています。
そのプライドを傷つけられた時に、人はメンツをつぶされたと感じます。
このようなメンツをつぶさないために根回しが存在します。
根回しは悪いことではない
根回しというと少し悪い意味で捉える人もいるかも知れませんが、立派なコミュニケーションの一つです。
根回しを悪いことだと誤解してはいけません。
根回しは裏から手を回してズルをすることでもありませんし、誰かのご機嫌を取るために行うことではありません。
あくまでも自分の意見や実行しようとしていることを、納得して円滑に行ってもらえるようにするプロセスの一種なのです。
組織では様々な立場や考え方の人がいます。
自分にとっては正しいことでも人によっては正しいことであるとは限りません。
残念ながらモラル面でも同様のことが言えます。
平気で割り込みをする人、ゴミをポイ捨てする人、煽り運転をする人、公共の場で騒ぐ人など挙げればきりがありません。
多くの人が間違っていると思ったとしてもその人達から見るとそれが正しいもしくは問題が無いと思っているのです。
話を戻しますが組織ではそういった自分とは異なる意見を持つと想定される相手に対し、納得して円滑に物事を進められるようにしていく必要があります。
色々な考えや立場にある人と一緒により良い方法を探っていくコミュニケーションこそが根回しの本質と言えるでしょう。
根回しで問われることがある
根回しを行う際に問われることがあります。
それは貴方の普段からの立ち振る舞いです。
根回しとは反対勢力を生み出さないための一種の協力要請と言っても過言ではありません。
事前にこういうことをしたいから協力して欲しいとお願いする行為でもあります。
そこでもし仮に貴方が普段から色々な人とコミュニケーションを図らず一匹狼的な立ち振る舞いをしていたとします。
そんな人にお願いをされたとして素直に聞き入れてくれる人は少ないでしょう。
人は誰しも都合の良い時だけ利用されたくないものです。
そういったことを回避するためにも普段から何気ないコミュニケーションを様々な立場の人と取っておいてください。
お互いに困った時や助けて欲しい時に気持ちよく支え合える関係が、事前に出来ていてこそ根回しの効果が発揮されます。
まとめ
上記でも触れましたが、根回しの本質は円滑なコミュニケーションにあります。
その為には相手への気遣いが必要です。
仕事をしていく上で「相手の立場に立って気遣いを忘れない」そういった精神があれば根回しは何も難しいことではなく自然に行うことが出来ます。
ビジネスは究極のところ、人対人です。
相手の立場を十分に配慮することを忘れないようにしましょう。