ビジネスメールの構成
今回は新入社員だけではなくベテラン社員でも間違い易いビジネスメールのルールについて解説していきます。
一般的にビジネスメールは以下のような構成要素を持っています。
- 宛先欄
- 件名欄
- 宛名
- 挨拶
- 本文、詳細
- 結びの挨拶
- 署名
上記のように本文の中と外で二つに区分することが出来ます。
宛先欄の名前における敬称は不要
ではまず宛先欄について触れていきます。
宛先欄とはメールアドレスを直接入力する欄です。
先方もしくは当方のアドレス帳で設定された名前が表示されます。
そしてこの宛先欄について度々議論となるのが、宛先欄の名前は呼び捨てになってても大丈夫なのか?という議論です。
これに対しての結論は本文中の宛名に敬称がついていれば何ら問題ないということです。
いやいや、宛先に敬称なしは失礼でしょ?
こういった意見が未だに多いのですが、そもそもメール本来の目的を考えてみてください。
日本に限らず世界中で文章を伝えるツールとして古くから手紙が文化として浸透しています。
そして手紙を略式化したものとしてハガキもあります。
そういった手紙やハガキがあるにも関わらずメールが普及したのはなぜか?
それは手紙やハガキに比べて断然効率が良いからです。
送る側だけでなく受け取る側も手紙やハガキに比べて、誤字や脱字の修正も楽でポストに出しに行く手間もなく効率面で優れています。
時間効率を少しでもあげるために世界中でメールが普及したわけです。
こういった時間効率を上げるためのツールに対し、敬称をつけるつけないといった議論をすることが不毛です。
出来るだけ無駄な工程を省き時間効率を上げることが本来の目的なのであれば、最低限のマナーだけ守れていれば良いという結論になります。
よって本文中の宛名に敬称をつけますので宛先欄に対して敬称は不要です。
ちなみに私も長年に渡り様々な取引先とメールでのやり取りをしていますが、宛先に敬称がついていなかった事に対し、指摘を受けたり気分を害したという意見を聞いたことがありません。
ただし複数人の宛先に送る際は、役職順や立場が高い人からの順番にしておいた方が無難です。
TO、CC、BCCの使い分け
送信するアドレスにはいくつか種類がありますので、それぞれ紹介していきます。
メインの送信対象、複数の人を設定することも可能。
返事をもらいたい相手に使用。
Carbon Copy(カーボン・コピー)の略称。
メールの内容を共有したい人に送る。
送信した事実を知ってもらい目を通すだけが目的のため返信は不要。
取引先とのやり取りの中で上司にも内容を共有したい場合などに使用。
Blind Carbon Copy(ブラインド・カーボン・コピー)の略称。
目的はCCと同義だが他の受信者にアドレスは見えない。
社外の複数の人に対してメールを送りたい場合などに使用。
慣れていない方には少しややこしいかも知れません。
また会社によって微妙に異なったルールで運用されている場合もありますので、ここでは押さえておくべきポイントだけ記載します。
それは個人情報(アドレス)の漏洩に繋がらないかということです。
メールを送信する際は上記をまずは判断基準にしてください。
例えばA社とB社に同一内容のメールを送る際にTOやCCを使用してしまうとそれぞれにアドレスを流失してしまうことになります。
この場合はBCCが適当だと言えるでしょう。
また自社と協力会社でC社に対するプロジェクトの工程連絡などで、既にそれぞれがアドレスを認知している場合は情報共有の手間を省くためCCが適当と言えます。
これは協力会社のアドレスをBCCに入れてしまうと、宛先であるC社から「協力会社は内容を知っているのか?」といった疑問を生むことになるからです。
もちろんケースバイケースによるところも大きいのですが、企業として個人情報の保護をはじめ秘密保持に関しては絶対に外してはいけません。
分からない場合は一度立ち止まって上司に相談し指示を仰ぐのが良いと思います。
件名はシンプルに
たまにメールの件名をだらだらと長文で書いている人がいますが、件名は出来るだけシンプルにするのが望ましいです。
これは人によっては一日に何件ものメールに目を通さなくてはいけませんので、件名からある程度重要度を判断することがあるからです。
件名はシンプルかつ本文の内容に直結するような文言にしておきましょう。
【だらだらとした件名の例】
貴社運営の〇〇〇〇に対するマーケティング戦略の立案と効果的なWEB広告宣伝の手法についてのご案内
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【すっきりとした件名の例】
〇〇〇〇に対するご提案について
また相手の関係性にもよりますが件名に【重要】【至急】などを入れることにより重要度が高まります。
ただし多用したり上司や取引先などの関係性によっては、相手が不快に感じることもあるので注意が必要です。
宛名には敬称を忘れずに
宛名は丁寧に敬称を忘れないようにしましょう。
この際の敬称ですが私は「様」だけを断然オススメします。
よく以下のような役職名を含んだ書き方をする場合があると思います。
〇〇株式会社
生産管理部
主任
△△△△様
こういった書き方も間違いではないとは思いますが、定期的に相手の情報を掴んでおこないと役職名が変わる恐れがあります。
これが出世による旧役職名だと相手側も指摘しやすく、課長から部長になりましたと言い出し易いかも知れません。
しかし逆のパターンだとどうでしょうか?
部長から課長に降格したといった話は自分からは切り出しにくいはずです。
こういったことを避けるため役職名は記載せず、敬称は「様」だけで良いというのが私の持論です。
また会社名は(株)(有)などと略さず株式会社、有限会社と正しく記載しましょう。
名前に関しても名字だけではなく出来るだけフルネームで記載した方がより丁寧な印象があると思います。
注意点ですが手紙など紙の場合は本文中の宛名は必ずフルネームとしてください。
これはメールとは違い紙の場合は開封される場合があった時に誰の手に渡るか分からず、社内で同姓の人がいると誤って違う人に届く可能性があるからです。
また紙の文書はメールよりも重んじられる文化がまだありますので、そういった意味でもフルネームしておいた方が無難でしょう。
挨拶文は相手によって工夫を
冒頭に挨拶文として社外の場合はお世話になっております、社内の場合はお疲れ様ですという挨拶文を入れることが多いと思います。
この挨拶文も相手との関係性によって工夫すると好印象を抱かせることが出来ます。
例えば少し親しい取引先の場合
いつもお世話になっております。
先日のクライマックスシリーズは巨人が快勝でしたね。
○○さんもお酒が美味しかったのではないですか?
今度また球場に行く際には是非私も同席させてください。
さて表題の件、提案させて頂きました新規顧客獲得における営業~
このように少し雑談を挟むことにより、本題に対する潤滑剤のような役割を担うことが出来ます。
メールは感情面の表現が難しいところがありますので、文面でうまく表現することが出来れば距離を縮めていくことも可能です。
ただし重要度の高い内容や緊急性の高い内容、まだ関係性が浅い人に対しては必要最低限の挨拶に留めておく方が無難です。
本文中における注意点
続いては本文中における注意点を列挙していきます。
- 句読点をつける
- 適切な位置で改行を行う
- 絵文字や環境依存文字、旧字体は避ける
- 要件を詰め込み過ぎない
- パスワードやカード番号などを送らない
- 引用や転載の際は著作権に注意する
- 誤字や脱字の確認を行ってから送信する
上記のようなことに注意してください。
この中でも句読点のつけ忘れや誤字、脱字などは相手側の信用を下げてしまうことになりかねません。
重要度が高い案件に取り掛かっている時や新規の取引先とのやり取り時は特に要注意です。
ちょっとしたケアレスミスを連発してしまうと取引先は「この人と一緒に仕事をしても大丈夫かな?」という不信感を生みます。
送信前に自分だけでは不安であれば上司にも確認してもらいましょう。
結びの挨拶文での印象効果
冒頭での挨拶文を工夫することにより相手との関係が深まるということを述べましたが、結びの挨拶文にもこれと同様のことが言えます。
一般的にはよろしくお願いします。といって締めくくる場合が多いと思いますが、より丁寧な言い回しをすることにより印象効果を高めることが出来ます。
(例)
よろしくお願いします。
☟
よろしくお願い申し上げます。
(例)
ご確認願います。
☟
お手数ですがご確認のほどよろしくお願いします。
ワンパターンになりがちな結びの挨拶ですが、関係性によってはより丁寧な言い回しの方が効果的かも知れません。
また体調面を気遣う一節を入れてみても良いでしょう。
締めの言葉一つで印象が変わることもあるので注意してみてください。
署名は目的に応じて使い分ける
メールの署名は名刺代わりになりますので、出来れば何パターンか作成しておきましょう。
署名があることにより住所や電話番号などを先方が簡単に知ることが出来ます。
また何度もメールのラリーを繰り返している場合に署名が入ることにより切れ目が分かりやすくなります。
社外用、社内用、簡易版など数パターン用意しておき目的別に使い分けるようにしましょう。
ただし記載する内容は間違いがなく常に最新の状態にしておいてください。
住所や電話番号などに万が一間違いがあると相手に迷惑が掛かりますので気を付けましょう。
その他のビジネスメールのマナー
最後に今回取り上げた他に注意すべき点を列挙致しますので参考にしてください。
- 送信時間に気を付ける
- 大きな容量のファイルを添付しない
- 重要案件はメールだけで済ませない
- 返信は出来るだけ早く行う
メールは文面だけですので感情面の表現が難しいツールで時として双方で誤解を生み出してしまいます。
送信前に今一度相手の立場になって見直してみてください。
相手に対し思いやりを持って丁寧な文面になっていればそれは必ず伝わります。
メールは使い方によっては便利な上に関係性を深めるツールにもなりますので上手く活用していきましょう。